籾摺り機 比較は必要処理能力の計算から始める
最初に記録するのは経営面積ではなく、乾燥機から一度に排出する乾燥籾の実重量と、籾摺りに使える正味時間です。「必要能力=一回分の乾燥籾重量÷正味作業時間」で算出します。正味時間には、始業点検、空運転、袋やフレコンの交換、品種切替、残米排出、清掃を含めません。例えば夜までに一回分を終えたい場合も、時計上の在場時間をそのまま分母にせず、実際に籾を流せる時間を過去の作業日報から拾います。ロット数が多い経営ほど、カタログ能力より停止時間の割合が大きくなるためです。
次に、既設の粗選機、昇降機、石抜機、粒選別機、色彩選別機、計量機について、取扱説明書に記載された能力を並べます。ラインの実能力は原則として最も遅い工程に制約されるため、籾摺り機だけを大型化しても、後工程で待ち籾や玄米が滞留すれば終了時刻は早まりません。反対に乾燥機の排出より小さい機種では、一回分の処理に時間がかかり、次の乾燥や荷受けとの重複が起こります。候補機の能力帯が必要能力を満たすか確認した後、販売店に自経営の原料条件と接続予定機器を示し、ラインとして成立するかを確認します。
脱ぷ方式と選別方式を分けて比べる
籾殻を外す脱ぷ部と、玄米・籾・しいな等を分ける選別部は別々に確認します。現行製品には、ゴムロールによる脱ぷと揺動選別を組み合わせた機種、ゴムロールと回転選別を組み合わせた機種、インペラ脱ぷと網による揺動選別を組み合わせた機種があります。井関農機のMXP3シリーズはロール式・回転選別で、作業能率はMXP253が4~10俵/h、MXP303が6~13俵/h、MXP353が8~18俵/hです。同社は負荷電流値に応じたロール間隔制御や、工具を使わずに選別円筒を外せる構造も示しています。
インペラ式の例では、大竹製作所のDMシリーズが、インペラで脱ぷした米を3段網揺動万石で選別する構成です。DM17Rは電源仕様により標準作業能率が異なり、単相200V・1.5kWのDM17R-2SMは240~780kg/h、三相200V・1.9kWのDM17R-Mは240~1,020kg/hと公式ページに記載されています。一方、山本製作所のロール式YRZシリーズは720~1,920kg/hの範囲で、自動循環排出装置を備えます。方式名だけで品質や扱いやすさを断定せず、実機で供給調整、循環から排出への移行、停止時の残米処理、選別状態の確認方法を一連で見せてもらうことが重要です。
電源・設置寸法・籾殻搬送まで採寸する
導入前には、分電盤から据付位置までの配線、相数、電圧、ブレーカー容量、同時に動かす搬送機や選別機の負荷を電気工事業者と確認します。「200V」とだけ記録せず、単相か三相かを分けてください。大型機では空気源も必要になる場合があります。ヤンマーGH600は三相200Vで、所要動力は脱ぷ部5.5kW、選別部0.75kW、製品昇降機0.4kW、その他0.025kWです。さらに消費量12L/min、圧力0.65MPaの空気条件が示されています。本体だけの電源を見積もると、据付後に付帯設備が不足するおそれがあります。
作業場では搬入口から据付位置までの経路、本体の全長・全幅・全高、投入口と排出口の高さ、点検扉やロール交換に必要な空間を測ります。GH600の機体寸法は全長2,405mm、全幅1,547mm、全高2,528mmです。同機の排塵距離は高さ3mの条件で水平最大40mとされていますが、配管の曲がりや接続条件を含む実際の計画はメーカーまたは販売店に確認します。籾殻の保管場所を先に決め、配管径、曲がり、高低差、排出口周辺の粉じん、換気、清掃経路まで図面に落とします。本体が収まるだけでなく、籾袋を持って回らずに済む人と物の動線を確保することが必要です。
実籾試運転と清掃時間で最終比較する
候補を絞ったら、可能であれば自経営の代表的な乾燥籾を用いた試運転を販売店に相談します。投入開始から流れが安定するまで、精品の排出量、循環量、籾殻の排出状態、袋交換による停止、終了後の残留米回収、清掃完了までを同じ手順で計時します。メーカーの能力値は比較の入口ですが、原料の水分、枝梗やくず米の割合、品種、粒長、使用動力などで変動します。ヤンマーもGH600について、含水率15%以上、くず米10%以上、枝梗付き粒が多い場合などには表示能率を下回る場合があると注記しています。数値を保証値とみなさず、候補ごとに能力の表示条件も確認してください。
多品種・多ロットの経営では、清掃箇所、残米取出口、必要工具、昇降機内部への接近方法、清掃後に目視できない箇所を確認します。消耗品についてはゴムロール、ベルト、軸受などの型番、交換手順、販売店の在庫、繁忙期の修理受付を見積書と一緒に残します。安全面では、詰まり除去や点検時の停止方法を取扱説明書で確認し、カバーを閉じる前に再始動しない手順を作業者全員で統一します。農林水産省の農作業事故事例には、籾の縦搬送機で詰まりを除去した後、カバーを閉じる前にモーターを回し、指がスクリューに接触した事例があります。停止、電源遮断、残留回転の確認、カバー復旧、再始動を一つの手順として扱います。