NOUKANO JOURNAL

穀物乾燥機 選び方|ピーク日から容量を決める

結論は、最大張込量ではなく「最も籾が集中する日の搬入量を、何時間で受け切れるか」で選ぶことです。過去の収穫日報から生籾量と水分を拾い、張込み・乾燥・排出の一巡時間、建屋条件、対象作物、繁忙期の修理対応まで同一条件で比較します。

最初に集めるのは作付面積ではなく、直近2~3作の収穫日報と乾燥日報です。日別・時間帯別の生籾搬入量、張込時水分、刈取開始・終了時刻、乾燥終了・排出時刻、コンバインや運搬車の待ち時間を並べます。記録がなければ、次作に現行機の張込重量と各工程の開始・終了をロット単位で残します。収量を玄米重量で管理している場合は、その数字を生籾重量として扱わず、実測した張込重量を使うのが安全です。

候補機は「ピーク日の搬入量÷最大張込量」だけで決めません。1バッチの所要時間には張込み、乾燥、排出、次ロット前の確認や清掃が含まれます。乾燥時間は初期水分、外気条件、設定、張込量などで変わるため、自家のピーク日データを販売店へ渡し、候補型式ごとに一日の処理計画を作ってもらいます。荷受けホッパー、昇降機、排出先の能力も時系列に入れ、コンバインを止める工程がどこかを確認します。

大き過ぎる機械にも注意が必要です。農研機構が同一型式・一定条件で行った籾の試験では、満量時に比べ約半量の張込みで乾燥した場合、乾減水分量当たりの全エネルギー消費が29%増え、最低張込量では65%増えました。これは特定条件の試験値で、機種ごとの消費量を示すものではありませんが、少量運転が続く構成を避ける判断材料になります。品種や区画を分けたい場合は、大型1台と複数台のどちらが必要なロット分けをしやすいかも比較します。

「穀物用」でも、すべての作物を同じ条件で乾燥できるわけではありません。仕様書と取扱説明書で、籾、小麦、大麦、大豆、そば、子実用とうもろこしなど、自家で扱う作物が使用対象に明記されているかを確認します。例えば静岡製機の汎用TCZ-EXDシリーズは、大豆・そば・コーン・籾・麦を対象として掲げています。一方、籾・麦向けの型式もあるため、将来の転作を見越す場合も「たぶん使える」で発注せず、作物別の張込範囲、水分計、必要部品、清掃方法を販売店に書面で確認します。

容量表示は石数だけで横並びにせず、作物別の処理重量で比べます。メーカー仕様では、籾と小麦で換算に用いるかさ密度や処理重量が異なる例があります。比較表には、最小・最大張込量、毎時乾減率の表示条件、張込時間、排出時間を作物別に転記してください。毎時乾減率から出した時間は目安にとどめ、初期水分から仕上げ水分までの所要時間を、自家条件で見積もってもらいます。水分差の大きい籾を、満量にする目的だけで混ぜないことも重要です。

設置前には本体の全長・全幅・全高だけでなく、組立経路、基礎、天井との間隔、張込口、排出管、排気ダクト、清掃口を開く空間まで実測します。電源は電圧、周波数、最大同時使用電力、既設設備と同時運転したときの契約容量を電気工事業者に確認します。燃料種、タンク位置、換気、粉じんや騒音の影響、雨水の侵入経路も現地調査の対象です。排気を再び吸い込む配置は乾燥効率を落とすため、ダクトの破損や排気方向まで点検できるレイアウトにします。

各社へ同じ条件票を渡します。記載するのは、対象作物、ピーク日の搬入重量、搬入時間帯、初期水分の実績範囲、目標水分、希望する終了時刻、ロット分け、既設の荷受け・搬送設備、電源、建屋寸法です。その上で、本体、増枠、張込・排出装置、水分計、排塵、遠隔監視、据付、基礎・電気・燃料・ダクト工事、既設機撤去、試運転を分けて見積もってもらいます。条件が違う燃料消費量や乾燥時間を、そのまま比較してはいけません。

省エネ機能を見るときは、カタログ上の機能名だけでなく、少量張込み時の制御、停止水分の補正方法、センサーの校正、運転履歴の保存範囲を確認します。農研機構の同試験では、籾を15%まで乾燥した場合と比べ、13%まで過乾燥にした場合は乾減水分量当たりの電気・灯油を合わせたエネルギー消費が20%増えました。数値は供試機と試験条件に限られますが、過乾燥を防ぐには、内蔵水分計を任せきりにせず、手持ち水分計との照合方法まで契約時に決める必要があります。仕上げ水分は出荷先の基準と取扱説明書に合わせます。

遠隔監視は夜間確認の負担を減らせますが、通信契約の有無、圏外時の挙動、通知先、データ保存期間、サービス終了時の扱いを確認します。安全装備では、農研機構の安全性検査合格型式かを合格機一覧と機体の証票で確かめます。同機構は、温度・風量の異常や失火時に燃料供給を止める構造などを安全装備として解説しています。遠隔表示があっても無人放置を前提にせず、取扱説明書で求められる監視と異常時対応を守ります。

清掃性は展示機で確かめたい項目です。側板や排風路、下部、昇降機、残留穀粒の排出箇所へ、安全な姿勢でアクセスできるかを見ます。高所の点検箇所は、生産者が日常作業で触れる場所か、販売店のサービス作業に限る場所かを区別してください。可動部の詰まり除去や清掃は、停止、動力遮断、再起動防止など取扱説明書の手順に従います。カバーを外したままの運転や、自己判断による安全装置の無効化は行いません。

納入時は空運転だけで検収せず、実際に扱う穀物で張込みから排出まで試運転します。張込重量、内蔵水分計と手持ち計の差、乾燥開始・終了時刻、排出時間、異音、粉じん漏れ、排気の逆流、エラー表示を記録します。非常停止後や停電後の扱いも、取扱説明書を見ながら販売店と確認します。操作盤の設定、校正結果、消耗品一覧、保証範囲、通常時と休日の連絡先を一枚にまとめ、乾燥施設内に保管します。

保守体制は購入価格と別の選定項目です。繁忙期の受付時間、訪問までの目安、代替部品の在庫、製造終了後の部品供給方針、定期点検の範囲を比較します。中古機では型式、製造番号、取扱説明書、整備履歴に加え、バーナー、昇降機、ベルト、センサー、制御盤、排気部の点検結果を求めます。移設先の電源や排気条件に適合するかも再確認が必要です。シーズン終了後には、待ち時間、燃料・電力使用量、停止回数をロット別に集計し、翌年の刈取順や張込単位の改善に使います。

よくある質問

穀物乾燥機は何石を選べばよい?

面積だけでは決められません。ピーク日の生籾搬入重量と時間帯、初期水分、1バッチの張込み・乾燥・排出時間を候補型式へ当てはめて判断します。石数に加え、作物別の最小・最大処理重量を確認してください。

大きい乾燥機ほど作業は楽になる?

必ずしもそうではありません。大型化で収穫待ちを減らせる場合がある一方、少量運転が多いとエネルギー効率やロット分けで不利になる可能性があります。大型1台と複数台を、実際の品種・区画構成で比較します。

籾用乾燥機で麦や大豆も乾燥できる?

対象作物としてメーカーが明記した型式に限ります。作物によって処理重量、水分計、設定、必要部品や清掃方法が異なるため、最新の仕様書・取扱説明書と販売店の書面回答で確認してください。

中古の穀物乾燥機はどこを確認する?

型式・製造番号、整備履歴、部品供給、バーナー、昇降機、ベルト、センサー、制御盤、安全装備を確認します。移設先の電源、基礎、全高、排気経路に適合するかを販売店と専門業者に現地確認してもらい、実穀で試運転します。

遠隔監視機能があれば夜間は無人でよい?

遠隔監視と無人運転は同じではありません。通信が切れた場合の動作や通知先を確認し、監視方法、異常時の停止・連絡手順は機種の取扱説明書と施設の安全手順に従ってください。

参考情報

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