NOUKANO JOURNAL

色彩選別機 比較は自家米テストで決める

結論は、カタログの最大処理能力だけで選ばず、自分の原料を候補機に通し、良品側の見逃し、排除側の良品ロス、実処理量を同時に測って決めることです。先に必要能力と除去対象を定め、電源、圧縮空気、前後設備まで含めて比較すれば、乾燥調製ラインの能力不足や過大投資を避けやすくなります。

最初に決めるのは機種ではなく、選別する原料、取り除きたいもの、選別後の出荷先です。農林水産省の玄米検査規格では、整粒、水分、被害粒、死米、着色粒、もみ、異物などが別々の項目として扱われます。一方、色彩選別機が識別できる対象はカメラ、光源、設定、原料との色差によって異なります。色彩選別を通せば検査等級が保証されるわけではありません。販売先の受入基準と登録検査機関の検査を、機械の選別性能とは分けて考えます。

処理能力の数字も同じ条件ではありません。山本製作所のCLX-154DFMは、玄米・白米が毎時150kg、大豆が毎時100kgですが、取扱説明書に示された標準不良混入率は米0.3%、大豆3%です。静岡製機SCS-110Sは、不良混入率10%以下で定格毎時2,700kg、8%以下で最大毎時3,300kgと条件を明示しています。原料状態の違う数値を横並びにして、能力の大きい順に順位を付けることはできません。

能力帯は農場の作業単位に合わせます。小袋や少量ロットを分けて処理するなら、少ない張込量での起動、品種切替、清掃時間が重要です。籾摺りと同時に連続処理するなら、籾摺機の実流量を止めずに受けられることが優先されます。共同乾燥調製施設や大規模ラインでは、前後の昇降機、タンク、計量機、集じん設備まで一体で能力を確認します。機械単体の毎時能力ではなく、一本のラインとして最も遅い工程を探すのが比較の出発点です。

フルカラーカメラは、原料との明暗や色合いの違いを捉える方式です。サタケのTGS-1500は前後各1台のフルカラーCCDカメラを備え、玄米の最大処理能力を毎時1.5tとしています。一方、サタケの施設向け光選別機SLASHは、フルカラーカメラに加えて近赤外線カメラを搭載し、可視光では見分けにくい透明または同色の異物を分光特性で識別する仕組みです。対象物の名称だけで判断せず、候補仕様に必要な検出方式が含まれるかを確認します。

付帯設備を外した比較は禁物です。TGS-1500の本体は単相100V、定格消費電力350Wですが、必要エア量は毎分165Lで、1.5kW相当のコンプレッサーはオプションです。メーカーはエアドライヤーの接続も指定しています。SCS-110Sは三相200V、1,380Wで、推奨コンプレッサーはドライヤー付き無給油式3.7kWです。本体が設置できても、電源容量、エア量、エアの乾燥条件が満たせなければ仕様どおりには運転できません。

見積もり前には設置場所の幅、奥行、高さに加え、原料投入口、良品出口、排除品出口の位置を図面へ落とします。昇降機の接続高さ、コンプレッサーまでの配管距離、集じん、点検扉を開く空間、袋を交換する作業域も測ります。既設配線が単相100Vだから選択肢も100V機だけ、と即断せず、必要な電気工事を含む総額と運用性で比べます。工事や据付はメーカー、販売店、有資格者と調整し、使用と清掃は必ず取扱説明書に従います。

候補を絞ったら、販売店やメーカーへ自家原料による実演を依頼します。通常年の原料だけでなく、選別に困っているロットや品種の異なるロットも候補にし、必要な持込量は試験先へ確認します。試験前に品種、収穫年、玄米か白米か、水分、粒選後かどうか、選別前の不良混入状況を記録します。各候補機には同じロットを使い、除去対象と設定変更の範囲もそろえます。メーカー任せで最もきれいに見える設定だけを比べると、農場で再現できない恐れがあります。

運転中は、投入重量、運転開始・終了時刻、設定、良品重量、排除品重量を記録します。実処理能力は投入重量を運転時間で割り、歩留まりは良品重量を投入重量で割って求めます。次に良品側から代表試料を取り、残った着色粒や未熟粒など目的対象を確認します。同時に排除側も調べ、販売可能な良品がどの程度巻き添えになったかを見ます。良品側だけがきれいでも、排除側へ整粒が多く流れれば、販売量と収益を落とします。

一回通しで目的を満たせない場合は、流量を下げる、感度を変える、再選別するなどの条件を試します。ただし、そのたびに処理時間と良品ロスを測り直します。最も強い設定を探すのではなく、出荷基準を満たしながら必要な時間内に処理でき、良品ロスを抑えられる設定を探します。試験結果は写真だけで残さず、重量、時間、設定値、採取位置を一枚の記録票にまとめれば、翌年に原料条件が変わった際の初期設定にも使えます。

候補機ごとに、同じ年間処理量と設置条件を販売店へ伝えて見積もりを取ります。本体、架台、張込・排出昇降機、ホッパー、コンプレッサー、エアドライヤー、集じん装置、配管、電気工事、基礎・据付、運送、試運転、操作指導を分けて記載してもらいます。既存設備を流用する場合は、必要流量や接続高さを満たすかを書面で確認します。最大能力だけで小型機を選び、繁忙期に流量を絞る事態になれば、乾燥機や籾摺機の工程まで待たせます。

維持費は消費電力だけで決まりません。コンプレッサーを含む電力、フィルターやバルブなどの消耗品、定期点検、清掃時間、品種切替時間、故障時の出張対応を確認します。繁忙期の修理受付、代替機の有無、消耗品の在庫、部品供給方針も比較項目です。中古機では、型式と製造年だけでなく、カメラ、光源、バルブ、基板の部品供給状況をメーカーまたは正規窓口へ照会します。外観が良くても、重要部品を調達できなければ収穫期の停止リスクが高まります。

最後は、候補ごとに自家原料で得た実処理能力と歩留まりを使い、年間処理時間を試算します。投資額の差だけでなく、選別で残せる販売可能量、委託選別を続ける場合の費用と運搬時間、故障時の代替手段を並べます。年間の処理量が少ない農場では、共同利用や委託の方が合理的な場合もあります。購入を前提に比較せず、必要な品質を必要な時期に確保できる方法として、所有、共同利用、委託を同じ表で検討することが過大投資を防ぎます。

よくある質問

色彩選別機は籾摺機と同じ処理能力なら十分ですか?

カタログ値だけでは判断できません。不良混入率、原料状態、選別設定で実処理量が変わるため、籾摺機の実流量を記録し、自家原料テストで連続処理できるか確認します。

フルカラーカメラと近赤外線カメラは何が違いますか?

フルカラーは主に色や明暗の違いを捉えます。近赤外線方式は、可視光では見分けにくい透明または原料と同色の異物の識別に使われる方式です。実際の検出対象は各機種の公式仕様と原料テストで確認します。

色彩選別機を通せば玄米は1等になりますか?

保証されません。玄米の検査規格には整粒、形質、水分、被害粒、死米、着色粒、もみ、異物など複数の項目があります。色彩選別の結果と、登録検査機関による農産物検査は分けて考えます。

コンプレッサーは手持ち品を流用できますか?

必要エア量、圧力、無給油式かどうか、ドライヤーの要否、配管径と距離を候補機の仕様書で確認してください。容量が足りるように見えても、他機との同時使用で供給量が不足する場合があるため販売店へ接続条件を提示します。

色彩選別機は実演なしでも選べますか?

設置条件による一次選定はできますが、最終決定前の実演を勧めます。同じ原料を使い、良品側の見逃し、排除側の良品ロス、実処理能力を数値で比べると、カタログでは分からない適合性を確認できます。

参考情報

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