野菜移植機 比較は4方式から候補を絞る
野菜移植機は大きく、歩行型か乗用型か、半自動か全自動かで整理できます。井関農機の公式説明では、半自動は作業者が苗を一株ずつカップへ供給し、全自動はセルトレイをセットして機械が苗を取り出しながら植え付ける方式です。半自動では作業者が良い苗を選んで供給できますが、その判断と投入を続ける人員が必要です。全自動は供給操作を減らせる一方、トレイ、根鉢、苗姿を候補機の適応条件へ合わせることが前提になります。
歩行型は一条植えを中心とする製品が多く、分散した小区画や作物別の専用作業を検討するときの候補です。乗用型には二条以上を同時に植える製品があり、まとまった面積で移植期間が短い経営では検討価値が高まります。ただし、乗用型でも半自動なら苗供給者を含む作業体制が必要です。全自動でも苗の運搬、空トレイの回収、補植を含めれば、移植機の乗員数と現場全体の必要人数は一致しません。一日の配置可能人数を先に書き出し、成立しない方式を候補から外すのが確実です。
全自動はトレイ名だけで適合を決めない
全自動機では、セル数が同じでも苗が必ず適合するとは限りません。農研機構が公表する野菜全自動移植機の開発資料では、128セルと200セルの規格トレイを用い、欠株の少ないトレイ苗を供給することが留意点とされました。これは1994年発表の開発機に関する条件であり、すべての現行機へそのまま当てはめる数字ではありません。購入時には候補型式ごとに、使用できるトレイ、培土、適応苗丈、葉張り、根鉢の状態を最新カタログと販売店で確認します。
実演には、展示用に整えた苗ではなく、普段の播種・育苗工程で作った複数枚のトレイを持ち込みます。試す前に欠株数、苗丈のばらつき、根鉢の崩れ、根の回り方、培土の乾湿を記録してください。実演後は、苗を取り出せなかった株、途中で落ちた株、葉が機構に掛かった株、根鉢が崩れた株を分けて数えます。半自動でも植付カップや開孔器には型式ごとの苗適応範囲があり、裸苗、セル成型苗、ポット苗を自由に交換できるとは限りません。苗方式を変えるなら、播種機、トレイ、培土、育苗棚、運搬箱まで含めた変更費用と作業量を確認します。
畝・株間・マルチへの適合を測る
機体を決める前に、既存圃場の畝上幅、畝裾幅、畝高、条間、株間、枕地の長さを実測します。メーカーの現行ラインアップには一条、往復二条、同時二条、四条などがあり、一畝一条と一畝二条でも必要な機体構成が異なります。株間の調整範囲に希望値が含まれていても、畝幅や車輪位置が合わなければ使えません。マルチ栽培では、候補型式がマルチ対応か、開孔と植付けをどのように行うか、フィルムの張り方や土寄せ条件に指定があるかを確認します。
植付精度は移植機だけでなく、畝の直進性、表面の凹凸、砕土、土壌水分にも左右されます。実演では普段使う畝立て機で畝を作り、少なくとも乾き気味の場所と湿り気のある場所を通します。植付直後に一定区間を決め、株間、植付深さ、傾き、浮き苗、埋没苗、根鉢と土の密着を同じ基準で記録します。旋回後の一株目や畝の継ぎ目も見落とせません。井関農機の乗用全自動機には覆土ローラの圧力や植付深さを調節できる製品があるように、調整機構は型式で異なります。操作方法と調整範囲は必ず候補機の取扱説明書で確かめます。
実演は植付速度より1区画の完了時間を見る
比較日は候補機ごとに同じ畝長、同じ苗枚数、同じ作業人数を設定します。計時は植付開始からではなく、苗の荷下ろし、機体調整、植付け、苗補給、枕地旋回、空トレイ回収、欠株確認、補植が終わるまでとします。記録するのは、区画面積、植付株数、総作業時間、機械停止時間、補給回数、補植株数、参加人数です。カタログの作業能率は試験条件が異なる場合があるため、数字だけを横並びにせず、自家圃場で一人当たりの総作業時間を比較します。
契約前には、機体本体に加えて必要な植付部、苗載せ台、かん水装置、マルチ仕様などの構成を見積書へ明記してもらいます。運搬車の荷台寸法と最大積載量、積み降ろし方法、保管場所、日常点検箇所、消耗部品、地域での修理体制、繁忙期の代替対応も確認事項です。専用品が多い玉ねぎ、ねぎ、さつまいもなどは、汎用機という名称だけで適合を判断できません。使用できる苗方式と栽植様式を型式単位で照合してください。共同利用や作業委託を比べる場合も、購入価格だけでなく年間の実利用日数と適期内に処理できる面積で判断します。